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全銀形式の振込データとは何か、どこでつまずくか

総合振込をネットバンキングで一括処理するとき、銀行に取り込ませるファイルが「全銀形式」です。毎月の支払をまとめて処理している会社なら、一度は目にしているはずです。

ただ、この形式は人が読むために作られていません。Excelで作ろうとして、取り込みエラーで弾かれた経験のある方も多いと思います。

そもそもなぜこの形式を使うのか、どこでつまずくのかを整理します。

なぜ全銀形式を使うのか

振込は、ネットバンキングの画面から1件ずつ手入力してもできます。件数が少ないうちは、そのほうが早いこともあります。

それでも総合振込(全銀形式の一括取り込み)に切り替える理由は、主に4つです。

件数が増えても手間が変わらない

1件ずつ入力する方法は、件数にそのまま比例して時間が増えます。20件なら20回、口座番号と金額を打ちます。

一括取り込みなら、20件でも50件でも、ファイルを1つ上げて確認するだけです。月末に支払が集中する会社ほど、この差は大きくなります。

打ち間違いの機会が減る

手入力は、打つたびに間違える機会が生まれます。口座番号の1桁違い、金額のゼロ1つ。しかも振込は、間違えても自動では戻りません。

一括取り込みでは、データを作る工程が1回で済みます。目視で確認する対象も、画面を20回めくるのではなく、一覧1枚になります。間違いが起きる回数そのものが減ります。

手数料が下がることが多い

多くの金融機関で、総合振込の手数料は都度振込より低く設定されています。件数が多いほど差が出ます。

ただし料金体系は金融機関ごとに違い、契約内容によっても変わります。実際の金額は、ご利用の銀行の手数料表でご確認ください。

「確認してから実行する」形を作れる

1件ずつ手入力する方法は、入力と実行が地続きです。打ちながら送信することになり、落ち着いて全体を見る場面がありません

一括取り込みでは、データを作る人と、取り込んで実行する人を分けられます。一覧で内容を確認してから実行する、という形が自然に作れます。担当者が作り、責任者が確認して実行する——この分担は、件数が増えるほど効いてきます。

全銀形式は「固定長のテキスト」

全銀形式は、全国銀行協会が定めたデータ形式です。総合振込の場合、1行が120バイトちょうどの固定長テキストで構成されます。

CSVのようにカンマで区切るのではありません。何バイト目から何バイト目までが何の項目かが決まっていて、足りなければ空白やゼロで埋めます。金額は右詰めでゼロ埋め、名前は左詰めで空白埋め、といった具合です。

ファイルは4種類のレコードでできています。

  • ヘッダーレコード(先頭・1行)— 種別コード、委託者コード、委託者名、取組日(振込指定日)、引落口座(仕向銀行・支店・口座番号)
  • データレコード(振込1件ごとに1行)— 振込先の金融機関・支店・口座・受取人名・金額
  • トレーラーレコード(末尾手前・1行)— 合計件数(6桁)と合計金額(12桁)
  • エンドレコード(最終行)

トレーラーには合計が入ります。つまり、データを1行足したら合計も直さなければいけません。手で編集していて合計の更新を忘れると、その時点で取り込みが通らなくなります。

Excelからそのままでは作れない理由

「支払管理表があるのだから、書き出せばいいのでは」と思われるかもしれません。実際にはそのままでは通りません。理由は主に3つです。

1. 桁が揃わない

CSVで書き出すと、金額が 486200 のように可変長で出ます。全銀形式では決まった桁数に右詰めゼロ埋めが必要です。項目ごとに桁数が決まっているので、1つでもずれると以降の項目が全部ずれます。

2. 文字種が違う

受取人名は半角カタカナで入れます。法人格は略語に直す決まりで、しかも位置によって形が変わります。「株式会社」なら、社名の前に付くときは カ)、間に挟まるときは (カ)、後ろに付くときは (カ です。使える記号も限られています。漢字のまま入れたファイルは受け付けられません。

3. 改行コードと文字コード

全銀の規定上の文字コードはJISですが、半角カナを含む実務のファイルはShift_JISで扱われるのが一般的です。改行の付け方も、レコードの間だけに入れるか、最終行の後ろにも入れるかで流儀が分かれます。

どちらも金融機関によって指定が異なります。作ったファイルが手元では正しく見えていても、銀行側の取り込み画面で弾かれることがあるのはこのためです。

つまずきやすい3か所

実際に支払業務を引き受けていて、間違いが集中するのはこの3つです。

受取人名のカナ表記

いちばん多いのがここです。請求書に書かれているのは漢字の社名なので、カナに直す作業が発生します。

ところが、振込先の口座に登録されている名義と食い違っていると、振込が通らないことがあります。「カブシキガイシャ」と略さずに書いてしまった、長すぎて後ろが切れた、濁点の扱いが違った——こうした細部で止まります。

金融機関コードと支店コード

金融機関コードは4桁、支店コードは3桁、口座番号は7桁です。桁が足りないとき、先頭にゼロを補う必要があります。Excelで管理していると、先頭のゼロが消えます00011 になったまま書き出されて弾かれる、というのは典型です。

委託者コード

自社に割り当てられた10桁のコードです(銀行によっては「依頼人コード」と呼びます)。銀行との契約時に決まるもので、間違えるとヘッダーで止まります。毎月同じ値なので、一度正しく設定してしまえば以降は問題になりません。

作る前に揃えておくもの

振込データを作る作業そのものより、材料を揃えるほうに時間がかかります

  • 振込先の金融機関コード・支店コード・預金種別・口座番号
  • 受取人名のカナ表記(口座の登録名義に合わせたもの)
  • 自社の委託者コードと引落口座
  • 振込指定日

このうち、受取人の口座情報は請求書に書かれています。つまり、請求書を読み取った時点で、振込データに必要なものはほぼ揃っています。

にもかかわらず、多くの会社では請求書 → 支払管理表 → ネットバンキングと、同じ数字を人が2回打ち直しています。全銀形式が難しいからではなく、読み取った情報がその形式まで繋がっていないのが理由です。

手で作らない、という選択

全銀形式は、仕様さえ分かれば自分で作れます。銀行によっては、ひな形のExcelを配布していることもあります。

ただ、毎月やる作業としては向いていません。桁数と文字種の決まりが多く、1件増えるたびに合計を直し、間違えたときにどこがずれたのか目で追うことになります。取り込みエラーのメッセージは、たいてい「フォーマットが不正です」としか教えてくれません。

私たちが請求書の読み取りから振込データの作成までを一続きにしているのは、ここが人が手を入れる意味の薄い工程だからです。読み取った情報をそのまま形式に流し込めば、桁も文字種も機械が揃えます。

一方で、できあがった振込データを銀行に取り込んで実行するのは、お客様の画面で行っていただいています。お金が動く操作は人が押す、という線の引き方です。

まとめ

  • 一括取り込みに切り替える理由は、件数が増えても手間が変わらない・打ち間違いの機会が減る・手数料が下がることが多い・確認してから実行する形を作れるの4つ
  • 全銀形式は1行120バイトの固定長テキスト。項目ごとに桁数が決まっている
  • ヘッダー・データ・トレーラー・エンドの4種類で構成され、合計件数と金額はトレーラーに入る
  • Excelからそのまま作れないのは、桁揃え・半角カナ・改行コードが理由
  • 間違いが集中するのは受取人名のカナ表記・コードの先頭ゼロ・委託者コードの3か所
  • 材料は請求書にほぼ揃っている。読み取りから作成まで繋げれば、打ち直しは要らなくなる

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